そもそも、原子ってなんだ?
原子はねぇ、モノを作っている小さな小さな「つぶ」のことだよ。
えらいザックリしてんなぁ。
もうちょっと詳しく教えてくれよ。
原子の構造
私たちの身の回りにあふれる多くのものたちは、細かく細かーく切っていくと、「ある特色」をもった粒子に分けることができます。
原子とよばれるこの小さな粒は、「ある特色」を保つのに必要なサイズの粒子です。
ただし、原子は本当はもっと小さな粒子からできているんです。
電気的にプラスの性質をもった原子核とよばれる核が原子の中心にあって、その周囲をマイナスの性質を持った電子が回っているんです。
さらに原子核を詳しく見ると、原子核はプラスの電荷を持った陽子と、電気的に中性な中性子から構成されます。
なので、「陽子と中性子が集まってできた原子核の周りを電子が回っているのが原子」です。
原子と元素の違い
原子にはいろんな種類のものがあって、 それぞれ違った特徴を持っています。
水素や炭素、酸素などは、日常生活でもよく耳にする元素ですね。
うん?元素?
さっきまでは原子って言ってなかったっけ?
元素は、現在までに118コ見つかっている「ある特色」を持ったつぶの種類のことで、原子は実在する物質のこと、です。
たとえば、炭素原子には、12C、13C、14Cの3種類あり、ちょっとずつ性質が違います。でも、元素としてはひとくくりの「炭素」に分類します。
私たちで言ったら、リスが「元素」で、シマリスやエゾリス、ニホンリスが「原子」かなぁ
おれは何トラだっけ?
原子番号と質量数と同位体
元素の種類を決めているのが、原子核に含まれる陽子の数です。
化学において元素の性質はとても大事なので、元素の種類と直結する陽子の数のことを原子番号としてそれぞれの元素に割り当てて、元素に含まれる陽子の数を分かりやすいようにしています。
12C、13C、14Cの3種類の炭素原子には、電気的にプラスの陽子はどれも6コ含まれていて原子番号6ですが、中性子の数が6コ、7コ、8コと異なります。
通常原子は電気的に中性の状態を保っているので、マイナスの性質を持った電子の数はどれも6コです。
原子番号1の水素の原子核には、陽子が1コ。
原子番号26の鉄には陽子が26コ含まれているんだよ。
陽子と中性子の重さ(質量)はだいたい同じですが、電子の質量は陽子や中性子に比べて約1800分の1と無視できるくらい軽いものです。
なので、原子核に含まれる陽子と中性子の和を質量数として、原子の重さの目安に使っています。
『大学への橋渡し 有機化学』 宮本真敏、斉藤正治著 化学同人 表1.2より引用
12C、13C、14Cの数字はそれぞれ質量数を表していて、元素記号Cの左上に半分のフォントサイズで表記します。
原子番号が同じで、質量数が異なる12C、13C、14Cのお互いの関係を同位体といい、ちょっとずつ性質が異なりますが、元素としてはどれも炭素に分類されます。
原子量とアボガドロ定数
原子はとっても小さい粒子なので、原子1コを基準単位として化学の世界で利用するには不便すぎます。
そこで、「 12Cを原子の重さの基準にして、12Cを12として考えましょう!」とIUPACという化学の基準を決める組織がとりまとめをしました。
たとえば、1Hは質量数1ですが12Cと比べると相対質量は1.0078に、中性子を加えた2Hは2.0142になります。
原子量は、各原子の相対質量と同位体の存在比を含めて考えた時の重さの平均値です。
水素の存在比はだいたい1Hが99.985%で、2Hが0.015%です。なので水素の原子量は1.0080となります。( 3Hのトリチウムは放射性同位体で時間とともに分解することもあり、存在比率が圧倒的に少ないです。)
また、実際に重さを測る時に便利なように12Cを12 g(グラム)持ってきた時の塊を1 mol(モル)という個数の基準にしました。
実際に12 gの炭素12Cの原子の個数を計測してみると6.02(214...)×1023コも原子があるんだよー。
1 molに含まれる原子の数のことをアボガドロ定数といって、原子の数を考える時に利用しています。
つまり、1 molの12Cは12 gで、6.02×1023コの12C原子が詰まっていると決めたわけです。
この決まりによって、2 molの水素原子は2.016 g(原子量 x モル数)で12.04×1023コ(アボガドロ定数 x モル数)の水素原子が含まれる、って割と簡単に計算できるようになりました。
まとめ
原子は、陽子と中性子が集まって作る原子核の周りを電子が回っている、小さな粒子のことです。
色々とややこしい決まりがありますが、使っていくうちに慣れていくと思います。
とくに陽子の数は、元素の種類を決める大きな要素であることは覚えておきたいですね。